先日、顧問先の社長より定年後の賃金額の設定についてご相談を頂きました。
一般的には「定年前の6~7割で…」と耳にすることが多いようですが、
今一度状況を調べてみました。
厚労省が公表している毎月勤労統計調査の結果を取りまとめたものもあるのですが、
少し前に不正があったことで報道等にも取り上げられた経緯があります。
よって、今回はこの統計はスルーしました。
また、労働関係書籍の出版社等が作成している資料もあるのですが、
企業規模がそれなりの企業を対象としているため、一般的な中小企業の実態とは
少し離れているようでした。
そこで目を付けたのは、国家公務員(労基法は適用外の方達です)の記事です。
すると 「定年前の6~7割で…」と近い数字がでてきました。
参考)![]()
現状:再雇用として定年前の6割
今後:定年延長となった場合は7割
での運用を考えているようです。
定年年齢を引き上げつつも、一定年齢で役職を外して賃金引下げるということになります。
ただこれも定年後もしくは一定年齢到達後に、どのような業務を担当させ、現状の能力は
どの程度なのかを見極めたうえ、個別に検討するというのが実務上の運用になろうかと思います。
今年の4月より中小企業にも適用になった同一労働同一賃金に関する規制も関係します。
定年後再雇用となった自動車教習所の教官について、定年前後で役割や仕事内容が変わらないのに
処遇を大きく引き下げたのは違法であるという判断をされたものもあります。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65548720Y0A021C2CC1000/
裁判例についてはそれぞれの事案に応じた判断がなされているため、
すべての事例があてはまる訳ではありません。
以前とは異なり60歳時点では繰り上げ支給を使わない限り年金の受給はできません。
再雇用後の役割・仕事内容・能力・労働時間等を勘案して、慎重に判断することになります。
