先日、他の社労士と「就業規則を持ち出しやすくすることでどんなリスクが生じるか」
という議論になりました。
就業規則を会社のどこかに掲示しておき、閲覧がいつでもできるようにしている
会社が多いと思いますが、中には各自に配布したり、データを各自の端末で見れるように
している会社もあろうかと思います。
会社の経営者の方や事務担当者の方に就業規則持ち出しのリスクを訪ねると、
・社外秘である就業規則が情報漏洩してしまうリスク
・競合他社に就業規則を真似されるリスク
・賃金体系を確認され、ライバルにそのちょっと上をいかれるリスク
などが意見として出てきます。
社労士目線でのリスクは何かというと、
・従業員にじっくり読まれるリスク
・従業員がどこかの専門家のところへ持ち込むリスク
という意見が出ます。
悪意をもって就業規則を読み込むような従業員はあまりいないと思いますが、
見る人が見れば就業規則の穴は見つけられます。
特に「同一労働同一賃金」という言葉が広まってきている状況においては、
正社員用と契約社員やパートアルバイト用の就業規則の違いを見つけて、
「不当に労働条件に差をつけている」と言い出されてしまう可能性があります。
こういったことを考えれば、就業規則は法律上最低限の周知方法で良いのではと思います。
ちなみに労働基準法第106条では、
「使用者は、就業規則を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、
または備え付けること、書面を交付することその他厚生労働省令で定める方法によって、
労働者に周知させなければならない」
と定められています。
つなり、「会社のここに置いてあるよ」というのがわかるようになっており、
「いつでも見ようと思えば見れる」という状態になっていれば構いません。
(鍵付きの書庫に入っている…はNGです)
最終的には経営側の判断となりますが、就業規則の周知方法についてはお時間のあるときに
それぞれご検討いただければと思います。