6月の末にジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案が
衆議院本会議を通過しました。
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/211/meisai/m211090211013.htm
その後7月に入ってからも新聞等で本件に関連した話題が新聞に載ることが多くなっています。
もう20年ほどの前の話なので時効かと思いますが、
当時、私が企業の労務課長として勤務していた際、産業医面談の希望者確認をしていたところ、
営業部の部長から面談希望があり、かつ、私も面談時に同席してほしいとのこと。
理由を聞きましたが、詳細は面談時に説明するとのことでしたので、当日に話を聞くことになりました。
その営業部長は、40人ほどの部下を抱えるポジションで、物腰は柔らかいものの結果には厳しいという評判の人でした。
産業医とは事前に「もしかしたらパワハラ系の相談?それとも本人の精神的な問題の相談?」と話していましたが、
面談を開始するなりその営業部長からは「明日からは女性として社内で対応したい、その為の配慮を会社に求めたい」とのことでした。
なにせその当時は、今のようなLGBTに対する社会的な理解が低く、我々もそのような事例を身近で持ち合わせていない為、
正直かなりの驚きと戸惑いでした。
具体的な要望として、一番判断に迷ったのは、「女性用のロッカーとトイレを遣わせてほしい」というものでした。
他の女性社員の手前、すぐにそれを認めることはできなかったので、男性ロッカーの片隅に着替え用のパーティションを設置、
トイレは障碍者用の個室トイレを使用してもらうことで理解を得ました。
今現在となっては、上記の対応でも異論が出てしまうのでしょうが、当時はこれが精一杯の対応だったと思います。
社内へのカミングアウトは本人が自身で行うということでしたので、本人に任せました。
その後、営業部長という職責を果たせていたのかどうかははっきりしませんでしたが、
半年後の定期異動で部長職を外れ、営業企画的な部下を持たないポジションへ異動が出ていたことを記憶しています。
当時は本当にごくまれな事例として捉えていましたが、現状においてはどこの企業でも起こり得る事象なのかもしません。
一昔前は、女性社員のみ制服着用という会社もそれなりに見かけましたが、今は稀となりました。
こう言ったことを踏まえて、時折社会情勢や慣習を汲み取りつつ、社内の点検をする必要がありそうです。